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モトローラMC13024を使ったポータブルAMステレオラジオの製作~その1~ [ラジオ]

2013年3月16日の日記

この前,ソニーの最初のAMステレオラジオSRF-A100を入手した話を書きました。今回はモトローラのMC13024を使ったポータブルAMステレオラジオを作ります。

MC13024P.jpg モトローラのMC13024P

モトローラが作った唯一のフロントエンドつきのAMステレオラジオ用ICです。それまで,デコーダとして元祖のMC13020のほか,高級機用のMC13022を発売していましたが,ラジオとしてフロントエンドもついたものが発売されていませんでした。やはりラジオというとソニーのSRF-A100のように据置型に近いラジオより,ヘッドホンで聴くポータブルラジオの需要も大きいので,それに応えたものだと思います。以前紹介した,ツインバードのプチオのほか,ANDOのSS-100,積水化学のミニオなどに使われています。SS-100はデコーダは東芝のTA8124かもしれませんが,確認していません。

MC13024は電源電圧1.8~8Vと低電圧で動作し,また,消費電流も6mAと,ポータブルラジオ用に低消費電力となっています。MC13020はカーステ用で,Vcc=6~10V,30mAですから,自作するときはAC電源にしないと動作しません。

もっとも,MC13022よりMC13024の方が先に発売されているようです。MC13024は香港製で,こちらのほうが工場の立ち上がりは早かったようです。

KENWOODやソニー,DENONなどの高級チューナにはMC13022が使われていました。ところが,某社のチューナをYahoo!で買ってフタを開けたらMC13028だったのでがっかりした記憶があります。MC13028は最後に主としてカーステ用に作られた廉価版です。

いままで,MC13020を使った据置型ラジオTA8124Pを使ったチューナを作ったことがありますので,今度はヘッドホン用のMC13024を使ったラジオを作ろうと思います。

ただ,このICはいろいろ指摘されていますが,ちょっと厄介なICで,作るのは少し躊躇していました。でも作ってみると案外簡単でした。

製作記事は "Ham Journal" や "ラジオの製作" で発表されています。特に,後者はかなり作るのに手こずったらしく,製作記事は完成してなくて,未完になった記事が発表されていたりします。やはりフロントエンドつきのラジオはむずかしいようです。

ただ,これらの記事にあったように,入力がないと局発が動作しない,というのはウソのようです。本当だったらスーパーのラジオにもなりませんので,変だと思っていました。問題はAMステレオ復調用のPLL回路に使われている3.6MHzのVCOがモトローラの規格表にあるとおり,LCの共振回路にしないと動作しない,と言うことにあります。通常のMC13020などのデコーダICはセラミック共振子を使っていますが,MC13024はLC回路でないとダメです。これは,#22ピンに電源を供給する必要があるためのようです。

一応,製作記事としては,HJ(No.64)の記事を参考にさせていただきました。ほかに,以前はweb上にTDKが電子工作のイベントで使ったと思われるPDFが出ていましたが,最近は見つからないようです。TDKのはアンプが大出力で,電源もAC電源となっています。これだったらMC13020でいい訳で,せっかくMC13024を使うのですから電池を使ったポータブルにしたいと思います。ほかに,モトローラの規格表に推奨回路があります。HJとモトローラの規格表はヘッドホンアンプに東芝のTA7376APを使っています。SIPのパッケージでノイズも少なく,なかなかいいICでしたが,最近は入手難です。最近,秋葉で見つけたので買いだめしておきました。MC13024自体も入手難ですが,まだ探せばあるようです。VCOの3.6MHzの共振回路はFCZ研究所の7S3R5を使いました。同社もコイルの製造をやめていますので,早めに確保しておきたいと思います。

MC13024 AMステレオラジオ.jpg回路です。

プリント基板は感光基板で作りました。ケースはタカチのLM-100を使いますので,基板は57×50mmの大きさにします。ちなみにLM-100のサイズは61(W)×100(H)×18.5(D)mmです。

MC13024 AMステレオラジオ基板.jpg 完成した基板。

ICは表面実装タイプのMC13024DWというのがありますが,さすがに表面実装では配線しにくいので,DIPのパッケージのMC13024Pを使っています。

また,アンテナコイルはこのケースに収まらないといけないので,小さいものが必要ですが,マルツでBA670というコイルがあったのでそれを使いました。インダクタンスも670μHなので,スーパー用にいいです。ただ,2次巻線がないので,リッツ線で10Tほど巻いて2次巻線としました。

BA670.jpg BA670改。中央のピンク色のリッツ線が巻き足した2次巻線です。

MC13024 AMステレオラジオ内部.jpg ケースに収めました

さて,配線チェックをしてまずはTA7376Pからチェックします。電池をつないでヘッドホンからサーッと言うノイズが聞こえればOKです。ボリウムを回してノイズが大きくなればOKですが,ところどころでモーターボーティング発振します。どこかで信号が回り込んでいるようです。TA7376Pの規格表にあるように,入力に0.0047μFをつけたら止まりました。

次にMC13024Pを差してテストします。

AM特有のガーッと言うノイズが聞こえればまずは成功です。うまく行くとバリコンを回すとどこかで放送が入ります。バリコンを回してもキューッとか,ノイズが変化しない場合は局発周辺に問題があります。ウンともスンとも言わない場合は配線ミスか,局発が停止していると思われます。

今回は最初からガーッとものすごい雑音がし,近くの民放が入りました。すぐにIFTのコアを調整し,音声が最大になるようにします。450kHzのセラミックフィルタを使っているので,これでIFTの調整は終わりです。もとからIFTは455kHz近辺に調整されているはずですので,そんなにコアをぐるぐる回さなくても同調が取れるはずです。セラミックフィルタはムラタのAMステレオ用広帯域のSFG450Dを使いました。

次はトラッキング調整をします。幸い,MC13024は▲の回路図を見るとOSCコイルの2次側を使っていませんので,そこに周波数カウンタをつないで985kHz~2055kHzで発振するようにします。バリコンを一番低い周波数にし,OSCコイルのコアで低い方で985kHzにします。次にバリコンを一番高い方にして,バリコンのトリマで高い方をあわせます。これを何度もくり返してあわせます。周波数カウンタがなければ,バリコンのダイヤルで600kHz付近の局と1400kHz付近の局で一致するようにすればOKです。ただ,あまりうまく行かないと思うので,ある程度で妥協するしかありません。

ちょっと今週はこれで時間切れです。また来週,AMステレオデコーダ部分を調整します。

 


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